KIMURA Architectural Design Lab.
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■ 思い出の専用住宅を用途変更して重層長屋の貸家に。。
ご両親が住む隣りに家を建て、永年暮らした思い出の住まいのコンバージョンです。
高齢になられたご両親と駅に近い平坦地に3世代で住む家を建てたため、貸家にしていましたが、ちょっと広すぎるようです。
この際、2000年頃に行なった大規模な増改築で痛めてしまった構造上の弱点の補強と耐震補強を施しながら、広い家を1階と2階に分けた重層長屋に改修して、貸しやすい大きさにリニューアルしようということになりました。そして、宅盤が道路より一層分低い傾斜地のためデッキプレートにコンクリートを打った痛んできている駐車スペースを、2世帯分のアプローチの確保を兼ねて更新しました。
コンバージョンに当たっての間取り変更等はスムースでしたが、構造の補強とアプローチのやり変えは、建物の履歴と残された痕跡から想像しながら傾斜や高低差などの微妙な寸法を押さえての細やかで難しい配慮が必要な計画となりました。また、工事が始まってから判ること驚くことも多く、その場その場での臨機応変な慎重な分析や調整が求められます。こちらの能力を試されているような現場でした。
ただ、出来上がってみると、初めから「そうだった」かのような、違和感のない自然なカタチにすることができました。各階の住み手の方達も暮らしやすいと満足していただいているようで、努力が報われた思いです。
中里の貸家
赤い→は、構造の整合性(力の流れ)を整えて水平剛性も持たせるために、増設した2階部分の補強梁や柱。
また、小屋組の桁行方向の剛性を取るためには、空間の開放感を邪魔しないステンレスのブレースを取り付けている。
出来上がれば、以前からあったようですが、微妙にレベルを調整して、途中までしかなかった梁を違和感のないようにボルトでつなぎ伸ばし、増設した直行する梁も登り梁とボルトで堅結し、2階の床梁がある位置で梁への荷重を確認して柱を建てている。
Works
キッチンと食堂の位置を梁を受けるために足した柱に合わせて、コンロ前の壁にしている。
以前のキッチンにつけていたハイキエースを移設し、熱受け盤を加工してもらい取り付けている。
正面のステンレスの部分は、移設したハイキエース。
ハイキエースもキッチンセットも以前からこの位置にあったように見えるが、部屋をフレキシブルに使えるよう、せっかくの眺望が活きるよう配置を変更し、大工工事の家具を作り付けて部屋全体のテイストの違和感をなくしている。
LDKから寝室を見る。
生活スタイルに合わせ、畳をフローリングにしたが、せっかくの和室造作は活かした。
水廻りの柱と棚は、リフォームで抜かれた柱の部分に、構造の整合のため新設。
柱を利用して棚にしている。
改築後の外観
勝手口の階段を付け替え、 駐車スペースに余裕をもたせて、2階世帯への玄関らしいアプローチを確保。
また、一階からの通風を考慮して駐車スペースに一部グレージングを敷いている。
改築前の外観
一般用トイレ
2階世帯へのアプローチ部分
キッチン、寝室から食堂を見る
キッチンを見る
食堂から寝室を見る
居間食堂からキッチンと入り口を見る
床の間は、書斎コーナーに変更。
以前の勝手口を新設玄関に。
キッチンを見る。
移設して既存のキッチンを再利用
入り口からキッチン、食堂を見る
食堂からリビング書斎コーナーを見る
食堂からキッチンを見る
2階世帯部分
1階世帯部分
2階や屋根の荷重を受けるため、柱を増設。既存の柱との間に板を渡して棚にしている。