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八ヶ岳南麓標高1000mに建つ超ローコストで多目的な住まい

 シンプルに、フレキシブルに、おおらかに、コンパクトに、 もちろんエコで省エネ、ローコスト、そして、潔く。。

 いつもの設計方針に加えて、山の自宅(週末住宅)ということもあり、今後の用途の変化や持ち主の変化にも対応の効く汎用プランと動線計画、自宅ならではの潔よさなど、当事務所の設計方針を徹底させました。


 特に標高1000mで冬の北風の強い地域ということもあり、温熱計算によるコストパフォーマンスの高い温熱環境を実現しています。また、寒冷地仕様、合併浄化槽宅内トレンチ処理にも関わらず50万/坪の超ローコストも実現しました。

 

 不在時にも有効なトップサイドライトからの直達日射と急な屋根による簡易版屋根集熱が功を奏し、室内は基本無暖房、夕食後に2時間程少し薪ストーブを焚くだけで12℃を切ることなく充分に暖かく、スリッパも要らない程です。

 また、すべての空気環境がつながる開放的な間取りやしつらえによる内部空間にすることで、不在時でも空気のよどみが無い構成とし、汎用の効くおおらかな各室、内雨戸によるカーテン無し生活とローコストの防犯防災の実現、構造用合板打ちっ放しのインテリア、土間による蓄熱、玄関脇やキッチン脇、脱衣所脇などの適材適所の収納やパントリー、ウオークインクロゼットなどによるローコストを徹底しながらも、維持管理も含めて快適にフレキシブルに使い回しが出来るよう計画しています。  

もうひとつの居場所ー八ヶ岳の家(桃樹岳房)

下部オープンのステンレスキッチン

不在が多いので、空気が淀まないよう、収納等の扉は全くないよう計画

大屋根の東西に配置した2つの屋根裏空間は、収納や仕事、来客の宿泊など、多様な利用に対応できるおおらかな空間

メーターモジュールプランにより、内装はノーカット構造用合板素地仕上げ、2F床も構造用床板塗装仕上げとした、超ローコストながら山荘らしい素朴な風合いの空間

日射の照り返しを防ぐために建物周囲を手入れ不要なクローバーで覆い、季節の楽しみと非常時対策を兼ねた「糧ものの庭=果樹&山菜ガーデン」で森の緑とつなぐ 

夏、クローバーやルバーブ等山菜やハーブが育って庭はにわかに青々となり、木は芽吹いて辺りは森が深くなる

八ヶ岳南麓から南アルプス甲斐駒ケ岳を望む

Works

寝室の通風内雨戸

ローコストの既成キッチンも大工家具を足して使いやすく

地域や仲間との気楽な交流やイベント開催など多目的利用の場を前提に設けた玄関のコンクリート土間空間は、冬期ダイレクトゲインの蓄熱体としても機能する

薪兼用のペレットストーブ

 ストーブは空間の中央に置き、煙突熱の輻射効果をねらう

 冬の20時頃から2時間程度の燃焼のみで起床時でも12℃を下回らない

 そよ換気システムの循環モードで館内中に暖気が行き渡る

南側屋根面を広く取り、冬至の太陽高度に対し直交に近づけるよう急勾配(約35度)として屋根面の受熱量を高め、簡易な集熱&換気システムである「そよ換気」を導入

玄関を兼ねた多目的な土間空間

階段下もワゴン収納でパントリーに利用している

階段から一階を見下ろす

冬のダイレクトゲインと夏の日射遮蔽を目論んだ「掃きだし窓」と「ハイサイドライト」

ハイサイドライトは不在時も受光し、室内環境を保つ

2階床面の一部は、1階土間まで太陽光を届けるためエキスパンドメタルの床とした

20周年改修時に関係者に渡ったサントリーホールロビーの椅子コーナーから一階を見下ろす

ネコもここに来ると、気持ちの良い輻射環境と広さで食欲と運動量が増して、ひとまわり大きくなる

2階トイレコーナー前の来客用洗面コーナーからは、八ヶ岳が望める

24時間換気と屋根集熱&廃熱を兼ねたそよ換気

2018年1月の温熱環境の記録

最高棟温度がドンと落ちた日、17日は雨、22日は雨、23日は雪、24日は雨、25日は雪。

この月は、20.21日と滞在したので、20日の夜少し室内温度が上がっている。

岩組みと盛土により、土石流対策、凍結深度対策、眺望確保、周辺景観へ配慮

秋冬、庭のクローバーは凍り付き木は枯れ枝となって荒涼とするが、眺望が鮮やかになる